信頼できる不動産会社をどう選べばいいか
そこで、物件購入を満足のいくものにするため、本ページ「物件購入基本ガイド編 (3)」 では、“不動産会社の上手な選び方” についてポイントになる点を押さえておきましょう。
§1. 不動産会社の種類
「不動産会社」は、取り扱う物件の種類によって、以下に示すようにいくつかに分類できます。
売主(事業主)、販売代理、仲介(媒介) の違い
(1) 物件の取引形態による分類
住宅の売買は、「売主」が、「買主」と売買契約を結び、代金の支払いを受けて物件を引き渡すことで成立します。
ただし、第三者が間に入り、「買主」を探したり、契約に関わる手続きなどを行うことも多いのが現実です。
不動産広告で見かける「会社名」に併記される、「売主」(事業主)、「販売代理」、「仲介」(媒介) という表示は、以下の図に示すような取引形態によって決まってきます。
▼不動産の取引形態
(2) 住まい選びに関わる会社の種類を把握する
新築マンション | 新築一戸建て | |
---|---|---|
販売形態 | 売主直接または販売代理 | 売主直接、仲介、販売代理 いずれもある |
売主 | ディベロッパー | ハウスメーカー・工務店またはディベロッパー |
販売窓口 | 販売代理会社またはディベロッパー | ハウスメーカー・工務店、ディベロッパー、販売代理会社、仲介会社 |
建築・施工リフォーム | ゼネコン | ハウスメーカー・工務店 |
管理 | 管理会社 |
中古マンション | 中古一戸建て | |
---|---|---|
販売形態 | 仲介がメイン | 仲介がメイン |
売主 | 個人であることが多い | 個人であることが多い |
販売窓口 | 仲介会社または売主 | 仲介会社または売主 |
建築・施工リフォーム | ハウスメーカー・工務店・リフォーム会社 | ハウスメーカー・工務店・リフォーム会社 |
管理 | 管理会社 |
▼新築マンションの事業責任者は「ディベロッパー」
新築マンションの場合、「ディベロッパー」と呼ばれる開発会社が売主となるケースが多くみられます。ただし実際は、ディベロッパーから販売を委託された「販売代理会社」が購入者の窓口になることも多いでしょう。
このほか、建物の建設については施工会社が工事管理を行い、購入後の建物管理には「管理会社」がそれぞれ関わっています。
▼新築一戸建ては「ハウスメーカー」・「工務店」や「仲介会社」が窓口
新築一戸建ての場合も、大きな団地などでは「ディベロッパー」が事業主・売主となるケースが多いでしょう。
一方、1棟~数棟の規模の場合は、「ハウスメーカー・工務店」が売主となり、販売にかかわる業務を「販売代理会社」や「仲介会社」に依頼するケースも多くなります。
購入者は、ハウスメーカー・工務店(またはディベロッパー)または販売代理会社・仲介会社とやり取りしながら、物件探しを進めることになります。
▼中古マンション・中古一戸建ての場合は、「仲介会社」経由がメイン
中古物件の場合、仲介会社が売主と買主の間に入り、売買条件の調整や契約手続きなどを行うケースが多くなります。
仲介会社は、物件の情報収集もしてくれるため、希望条件に合う物件が見つからないときなどは相談してみるといいでしょう。
また、仲介会社のなかには、「物件購入+リフォーム」の両方をサポートする会社もあります(例:ワンストップサービスなど)。中古物件を買ってリフォームを検討する場合は、こういったサービスのある仲介会社や、「ハウスメーカー・工務店・リフォーム会社」について早めに調べておくようにするとよいでしょう。
このほか、中古マンションは、物件の管理を行う「管理会社」についても確認しておくことをお勧めします。
(3) 各会社の特徴を把握し、購入前にきちんとチェックを行う
▼比較的会社規模の大きい「ディベロッパー」
ディベロッパーは、マンションや大規模団地などの開発に携わる会社であり、窓口として販売代理会社が絡む場合は、直接にやり取りすることは少ないと言えます。
ただし、あくまで事業主はディベロッパーになるため、これまでの供給実績や、「経営悪化」「欠陥トラブル」などの問題がないかどうかを、事前にチェックしておきたいものです。
▼建物の設計・施工を行う「ハウスメーカー」・「工務店」
新築や中古の一戸建て物件を買ってリフォームする場合は、ハウスメーカー・工務店とやり取りすることも多くなります。
それぞれの会社が、独自に工法やデザインへのこだわりを持っているため、ご自分に合う会社を吟味して選びたいものです。
それとともに、できれば会社の経営状態などもチェックし、保険制度への加入の有無なども確認しておくようにします。
▼分譲物件の販売業務に特化した「販売代理会社」
分譲のマンションや一戸建てで、販売業務のみを代行するのが販売会社です。
ディベロッパーから一任されて、広告などの告知から、契約までを請け負います。こうした販売会社が絡む物件では、購入希望者のメインの窓口となり、担当物件自体についてはもちろん、周辺情報や資金計画など、幅広い知識でサポートをしてくれます。
▼中古を中心に、売主と購入希望者をマッチングする「仲介会社」
仲介会社は、売主の依頼を受けて販売活動を行います。
買主が現れたら両者の意見を調整して契約までの道筋を整えた上で、契約事務を行います。また、買主の依頼を受け、条件に合う物件を探す仕事もしてくれます。
売主、買主ともに、仲介会社には仲介手数料を支払う必要があります。支払いは、契約時と引き渡し時に分けて行うケース(半分ずつ支払う、など)が多いのが実態です。
§2. 不動産会社を賢く活用するために
(1) 物件の種類ごとに、関わりのある会社について知っておく
居住用物件 (住宅) の購入にあたっては、直接の窓口となる販売代理会社や仲介会社のほかにも、分譲物件などの企画や事業管理を行うディベロッパー、建物を建てる建築会社、マンションの管理会社など、いろいろな会社が関わりをもっています。
上に掲げた2つの表 [表(1)・表(2)] を参考に、ご自分が関わることになりそうな不動産会社について、事前に特徴をしっかりと把握しておくとよいでしょう。
(2) マンションの建物管理・維持業務を行う「管理会社」について
管理会社とは、マンションの全所有者によって構成される「管理組合」の委託を受け、建物の維持・管理を行う会社です。
新築の場合、最初はディベロッパーが決めた会社に委託することが多いでしょうが、物件の引き渡し以降は、管理組合の総会等で一定数以上の合意が得られれば、委託先の不動産会社を変更することもできます。
§3. 不動産取引の流れと「宅地建物取引業」について
不動産を取り巻く会社には、これまで見てきたように様々な種類があります。その中で、住宅の売買や貸借をするときに密接な関わりのある「宅地建物取引業」(略称=宅建業)について触れておきましょう。
ちなみに、本サイト(北洋エアーリゾート)を運営する弊社・北洋航空株式会社は、この「宅建業」であり、取引形態の面で言えば「仲介会社」となります。
そこで本節では、本サイトの運営特性をご理解いただく意味で、以下の3つのポイントについて取り上げておきます。
宅建業のポイント1 「不動産業」と「宅地建物取引業」の違い
「不動産業」と「宅建業」は同義ではありません。
不動産業には、売買、仲介(「媒介」ともいわれます)、賃貸(土地や住宅・ビルの大家)、管理(分譲マンションの管理、賃貸物件の管理等)など、様々な業種が含まれます。
一方、宅建業は、不動産業のうち、売買や仲介といった取引(流通面)を取り扱う業種のみが含まれます。したがって、住宅(居住用物件)の購入に当たっては、宅建業について理解しておく必要があります(※物件の売却の場合も同様です)。
宅建業のポイント2 「宅地建物取引業」とは?
宅地建物取引業(=宅建業)とは、主に以下の2つの業務を行うものをいいます。
(1)自らが行う宅地や建物の売買や交換業務
(2)売買や交換、貸借をするときの代理や媒介業務
▼「宅地建物取引業者票」(左:空欄の場合、右:業者名を記載した場合=サンプル)
宅建業は、「宅地建物取引業法」という法律の規制によって、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けた者でなければ営むことができません。
国土交通大臣免許か、都道府県知事免許かは、事務所(本支店等)の設置状況によって決まります。ちなみに宅建業の免許の有効期間は5年です。
免許権者 | 2つ以上の都道府県に事務所を設置 | 1つの都道府県に事務所を設置 |
---|---|---|
国土交通大臣 | ○ | - |
都道府県知事 | - | ○ |
▼宅地建物取引業の手数料規定=報酬額票
なお、大家さんから依頼を受けて行う貸借の仲介(入居者募集など)は宅建業に含まれます。ただし自らが行う貸借(貸しビルやアパート経営をする行為など)は宅建業には含まれず、宅地建物取引業の規制の対象業務ではないことに注意が必要です。
また、免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)は、宅建業者に法令違反があった場合に、業務改善のための指示処分、業務停止処分、免許取消処分などの行政処分を行います。
ただし、これらの情報だけで宅建業者の善し悪しを判断することはできませんので、あくまで参考情報としてご活用ください。
宅建業のポイント3 「宅地建物取引士」について
《注》 宅地建物取引業法の改正により、それまで使われていた「宅地建物取引主任者」の名称は、2015年(平成27年)4月1日から「宅地建物取引士」へと改称されています。
「宅地建物取引士」とは、宅地建物取引主任者資格試験(2015年3月31日以前の場合)、または宅地建物取引士資格試験に合格した人のうち、都道府県知事の登録を受けた上で、宅地建物取引士証の交付を受けた人のことをいいます。
その資格特質は、 “不動産取引に関して広範な知識を有している流通の専門家” ということになります。
宅地建物取引業法では、不動産の取引のなかでも特に重要な業務である、物件や契約内容等の説明(重要事項説明)と、契約内容を記載した書面への記名押印については、宅地建物取引士しか取り扱えないと定められています。
ちなみに不動産会社が宅建業の免許を受けるためには、専門家である宅地建物取引士を一定数以上確保しなければいけないことが定められています。